コバトンとハッピーに生きていくためのレシピ

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「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」

「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」

みなさん、こんにちは!

この言葉は美しい女性の容姿や立ち居振る舞いを花にたとえて形容する言葉です。なさんは聞いたことがありますか?

芍薬はすらりと伸びた茎の先端に華麗な花を咲かせるので、美しい女性が立っている姿のよう。

牡丹は枝分かれした横向きの枝に花をつけることから美しい女性が座っているよう。

百合は風を受けて揺れるさまから美しい女性が歩く姿のようだと。

女性の美しさを三つの花に例えて表現しています。あっぱれですね🍑

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ことに芍薬の花は幾重にも花びらを重ねた大輪でほんとうに艶やかです。その香りも印象的で、多くの人を魅了します。

この前コバトンと話していたとき、コバトンは「百合の花」が好きだといいました。

ちょっと意外でした。というのは、お花屋さんでは大概いつも、直感で季節の花を選んでいたと聞いていたからです。実際にお花屋さんでケミストリーが合わないと、みなさんも無理して買わないと思います🎶

特に風水の観点からは、玄関の生花は重要です。造花は絶対ダメだといわれています!

話を元に戻しますと、私は内心、「百合の花の匂いは100㍍離れていても強烈で、かつ花粉が服に付くとなかなか色落ちしないので、あまり好きでない」って、正直に言おうかと思いましたが、余計な一言はやめた方がいい!ということを思い出しました。

逆に、「ねぇ知ってる?「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という句の中で、「歩く姿は百合の花」という部分は、百合の花の持つ優雅さや気品、美しさを指しているんだよね。その立ち姿だけでなく、風に揺れる姿がとても美しいとされているんだよねぇ」っていいました🎶

【雑学】
しかしです。この言葉はもともと漢方藥の生薬の用い方を表現した言葉というのをご存知ですか?「立てば」はイライラし、気のたっている女性に対して芍薬で気を沈めます。芍薬の根を用いて、そのほかに血液の流れをよくしたり、痛みや筋肉のこわばりを和らげるんだそうです

「座れば」は座ってばかりいると血液の流れが悪くなり、血液が滞ります。このような状態に対して牡丹の根の皮の部分(牡丹皮)を用いて血液の流れを改善する。

「歩く姿」は百合の花が風でゆられているように、心身症のヒトがゆらりゆらり、フラフラと頼りなげに歩く姿を意味します。よって百合の根を用いて不安や不眠、動悸を改善することに努めるということです。

これらの生薬を用いれば女性は美しく、健康になれることから転じたものと考えられるとのことです。びっくりですね!

以下の論考が秀逸なのでこれ少々長いですが、引用させていただきます。

【北海道立衛生研究所薬草園 林隆章】

 「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」、これは美人を形容する言葉ですが、元々は生薬の用い方をたとえたものです。漢方薬は数種類の生薬を混合し煎じたものです。それぞれの生薬は特有の薬効を有しており、症状に応じて適したものを用います。

「立てば芍薬」の”立てば”はイライラとし気のたっている女性を意味し、芍薬により改善されます。芍薬の根を使うのですが、痛みを取ったり、筋肉のこわばりを取ったりします。「座れば牡丹」の”座れば”はペタンと座ってばかりいるような女性を意味し、それは「お血(おけつ)」(お=やまいだれ+於)が原因となっていることもあります。

 「お血」とは、漢方で症状を表現するのに用いられる言葉のひとつで、腹部に血液が滞った状態を意味します。「お血」は牡丹の根の皮の部分(牡丹皮・ぼたんぴ)により改善されます。「歩く姿は百合の花」は百合の花のようにナヨナヨとして歩いている様子を表現しており、心身症のような状態を意味します。その場合には百合の球根を用います。

 このように、それぞれの症状に合った生薬を用いると健康になれます。つまり、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」は、健康な女性は芍薬・牡丹・百合の花のように美しいという意味かと思います。

生薬としての芍薬、牡丹、百合

芍薬

 ボタン科の芍薬の根を乾燥したものです。皮を除去したものを白芍(びゃくしゃく)、皮付きのものを赤芍(せきしゃく)と称します。北海道でも栽培され、調製加工後に出荷されています。芍薬の「芍」は薬の意味です。芍薬」は「薬の中の薬」という意味なのでしょう。鎮痛、鎮痙薬。筋肉とくに腹直筋を緩和します。「当帰芍薬散」、「芍薬甘草湯」などの婦人に処方されることが多い漢方薬に配合されています。

牡丹

 ボタン科の牡丹の根皮を乾燥させたものです。牡丹の花は豪華なので、中国では花王と賞されています。牡丹は中国の国花とされていた時代もあり、詩歌で詠まれ絵画に描かれ愛でられてきました。独特の芳香を有し、鎮静、鎮痛、駆お血薬として婦人科疾患などに用いられます。「大黄牡丹皮湯」、「桂枝茯苓丸」などに配合されています。

百合(びゃくごう)

 ユリ科百合(多種類が用いられている)の鱗茎の鱗片を乾燥させたものです。消炎、鎮咳、利尿、鎮静薬として用いられます。中国の後漢時代の中医学者である張仲景は、百合の精神安定薬的な効用を示しました。「百合知母湯」、「百合地黄湯」などに配合されます。

生薬の分類

 中国で西暦100年頃に「神農本草経(しんのうほんぞうけい)」という人類最古の薬物書が書かれました。それは漢方などで用いられる生薬の原典です。その中には365種類の生薬が記載されており、それらは上薬(じょうやく)・中薬(ちゅうやく)・下薬(げやく)の3種類に分類されています。前述の芍薬・牡丹も記載されており、中薬に分類されています。その分類について簡単に説明します。

上薬(120種)

 上品(じょうほん)とも言われる。「君と為す」と記され、薬の王様に位置づけられています。無毒で、多く服用しても、長期に服用しても人体に害を及ぼさず、長寿のためにも用いることができます。

中薬(120種)

 中品(ちゅうほん)とも言われる。「臣と為す」と記され、大臣クラスの薬と位置づけられています。有毒のものも無毒のものもあるので、その性質を考慮して適宜配合して用いる必要がある。

下薬(125種)

 下品(げほん)とも言われる。「佐使と為す」と記され、実際に病を治す効力を有する薬と位置づけられています。有毒のものが多く、長期に服用することはできません。たとえば下薬のひとつである附子・烏頭は、有毒なトリカブトの塊根を乾燥したもので、大量に用いると危険です。

 これらの上薬・中薬・下薬を配合して用いるのが漢方薬です。上薬が中薬の作用を調節し、中薬が下薬の作用を調節し、好ましい効果を引き出しその毒性を減弱させる、というような関係にあるようです。人間社会にも上品・下品な人がいますが、それらの特徴を生かして調和した関係が必要なのとよく似ているように思います。

陰陽五行説

 日本の漢方や中国の中医学で用いられている言葉や考え方が、私たちの日常でも用いられています。五臓六腑という言葉もそれに含まれます。五臓六腑は陰陽五行説に基づく概念です。次に陰陽五行説について簡単に説明します。

 すべてのものを陽と陰に分けます。例えば、太陽と月(大陰)、光と影、昼と夜、男性と女性が陽と陰になります。また天地万物を五種類に分けます。基本は木、火、土、金、水の5種類です。その五種類には陰陽があり、それらが動くこと(行)から陰陽五行と表現されます。それらの関係は、木は火を生じ、火は土を、土は金を、金は水を、水は木を生じるというような相手を生じさせる関係(相生:そうじょう)、さらに水が火を消すような相手を抑制する関係(相剋:そうこく)として理解されています。種々のものを五行に分類したものを表に示します。

 木、火、土、金、水と日(太陽)、月(大陰)を合わせると曜日になります。五臓六腑と言いますが、表では五臓五腑しかありません。腑は袋状のものを意味します。人体をひとつの袋とし一腑として加え、人体全体を五臓六腑と表現します。 

 食品を五味五色に分けることもあります。五味子(ゴミシ)という名の生薬があります。酸っぱい、苦い、甘い、辛い、塩っぱい(鹹)の五味を有する実という意味です。五味子はチョウセンゴミシの実で、北海道に野生しており、秋に赤い実をつけます。一度味わってみてはいかがでしょうか?チョウセンゴミシは北海道立衛生研究所薬草園でも観ることができます。

芍薬の育種について

 北海道は、日本における薬用芍薬の代表的産地です。北海道の気候に適した品種として「北宰相」が育成されています。芍薬は花の大臣(宰相)、「花宰」と賞せられており、「北宰相」は北海道の芍薬という意味になります。

 この品種の育成は、1969年に薬用植物資源研究センター北海道研究部(名寄)により開始され現在も続いており、その約40年間にこの育種に係わった研究者は数代に渡っております。当所では芍薬の成分を分析することにより、その化学的品質を評価してまいりました。

 私も20年間ほどその分析を担当していた時期がありました。薬用植物の品種を確立するためには、このように長い年月と研究者の情熱を必要とします。芍薬以外の生薬についても同様の努力が続けられており、今後さらに多くの生薬で良い品種が生まれることが期待されます。

 芍薬は当所薬用植物園でも栽培されており、毎年6月中旬に美しい花を咲かせます。

【林隆章】1978年北海道大学薬学部卒業。生体内酸化的障害に関する研究に取り組んでおり、酸化的ストレスにより有害な中間物質が生成する機構および生体に対する影響について研究している。また、アレルギー食品の試験、健康食品に含まれる有害物質の試験などのヒトの健康に係わる化合物の試験に携わっている。この記事は、2007年8月28日に「しゃりばり」ウェブページに掲載されたものです。

https://www.iph.pref.hokkaido.jp/charivari/2007_10/2007_10.htm

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