夕暮れと紅茶と
観光地の華やかさには確かに特別な魅力がある。でも、振り返ってみると、一番心に残っているのは、もっと静かで穏やかな時間です。コバトンと一緒に過ごした、そんなひとときが今でも胸を温めてくれる。
遠回りの夕暮れ
ある日のこと、賑やかな場所を訪れた帰り道、夕焼けがとてもきれいだった。私たちはあえて遠回りをして、静かな道を歩いた。彼女がふと、「こういう時間が一番贅沢だよね」と言った。その言葉に、思わず深く頷いた。
観光そのものではなく、その時間を一緒に過ごしている誰かが大事なのだと、彼女の横顔を見ながら改めて気づいた。
紅茶と感性
また別の日には、静かなカフェで暖かい紅茶を飲んだ。そのとき、彼女が「これ、好きでしょう？」と言いながら選んでくれた紅茶が、優しい香りと甘さで心にしみた。続けて彼女はこう言った。
「あなたの感性がだんだん分かってきたから、これがいいかなって思ったの。」
その言葉が何よりもうれしかった。ただ目の前のものを楽しむだけでなく、私のことを深く理解してくれる。そういう存在が目の前にいることが、どれほど贅沢で幸せなことかをそのとき実感した。
コバトンの名言
「やっぱりどこへ行くより誰と行くか？何を食べるかより誰と食べるか。」
コバトンがよく言っていたこの言葉を思い出すたびに、彼女が大事にしていたものの本質を感じる。ただ楽しい場所やおいしい食事を求めるのではなく、共有する相手こそが何よりも大切だと、彼女はずっと教えてくれていた。
今も心に残るもの
華やかな景色や味わった料理はいつしか記憶の中に薄れていくけれど、一緒に過ごした時間の温もりは、ずっと心に残り続ける。私にとってその時間の中心にいたのは、いつもコバトンだった。
彼女が隣にいるとき、私は世界中で一番贅沢な時間を過ごしているんだと思えた。その感覚を教えてくれた彼女に、今でも感謝している。
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